南奥駈
2008年5月17日~19日

南奥駈、世界遺産となった今でも、訪れる人の少ない縦走路。
ショウタンの先達・シマヤンのサポートで念願が叶いました。

夢の中を歩いた3日間でした。

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行程
5/17 旭登山口 釈迦ヶ岳 深仙宿
12:25 14:50~15:15 16:00
5/18 深仙宿 太古の辻 涅槃岳 持経宿 平治宿 行仙岳 行仙宿
5:40 6:05 10:05 11:30~12:55 13:55 17:10 17:35
5/19 行仙宿 笠捨山 香精山 稚児の森
6:45 8:15 11:13~12:00 14:00

5月17日

  南奥駈。百名山を意識しつつも、百名山のみに拘りたくなかった僕は、大峰も山上ヶ岳から前鬼への縦走を考えていました。縁あって2005年に大峰登山が実現し、大普賢~前鬼までの縦走を終えていました。しかしながら、縦走路は更に南へと延びています。かつて仙丈から塩見への縦走の最後に塩見の山頂から眺めた荒川・赤石のように、”辿るべき道”がそこにありました。それから早くも3年。今年実行する事を決意し、ショウタンに先達を御願いしました。アプローチが難しいこの地域。帰りの足をシマヤンに御願いし、快晴の中旭駐車場より登山開始となりました。



  
明日辿る事になる稜線がきれいに見えています。前回登った大日の岩場が陽光に光っています。今回はパスしよ~っと!!


  
カタバミの葉ではないし、花はカタバミだし・・・。と思っていたら、ショウタンが一言、”葉は下に隠しているんだろ!”。はい、そのようですね。よく見ると、きれいに折りたたまれたカタバミの葉が写っています。


  釈迦ヶ岳登りの途中にある”行者の隠し水”は、こんこんと湧き出ていました。鹿もその水を飲みに来ていました。僕もいただきました。本日の夕食用の水を確保した際に、手袋を忘れてしまいました。釈迦ヶ岳下山時に取りに戻りました。3年前に辿った、弥山からの稜線です。前回は吹き降り状態で視界ゼロ。僕の本領発揮でした。今回はすばらしいスカイライン!ショウタンパワーに軍配が上がったようです。



  窓からの限られた景色であっても、その世界は無限に広がります。流れる雲のごとく、僕も旅をしています。


  ツツジのシーズンです。あちらにもこちらにも、様々な色合いのツツジが咲き誇ります。ショウタン、しきりにパチパチやっています。花に興味の無いはずのショウタンが・・・?と不思議に思っていたら、”誰それさんに見てもらおう””誰それさんが好きだと言っていたからな・・”とブツブツ口走っています。人に喜んでいただく事が嬉しいショウタンです。


  前回の大峰山行時にショウタンから、”万が一のためにツエルトは常に持参するように”とアドバイスを受け、携帯していました。今回初のデビューとなりました。ただ、ツエルトを持っていただけ、何も使用方法を知らなかった僕は、細引きも用意せず。ショウタンにいただいた細引きで張る事ができました。”次回のために用意しておくように。””アイアイサー”。しかし、聞いてはいましたが、あんなに結露するとは知らず・・。一晩中内側をタオルで拭いていた育ちの良い松でした。

5月18日

  ツエルトの中で、誰かの鼾を子守唄代わりに睡眠を取り、迎えたすがすがしい朝です。5:02に太陽が昇ると、小屋で夜を明かしたグループがパシャリパシャリと写真撮影です。僕も負けじと・・・・・、駄目ですネ。あの感動はその空間に居合わせたものでないと表現できません。((単に表現する腕が無いだけ(笑))


  朝食を摂り、準備をし、いよいよここから南奥駈です。すでに踏破経験のあるショウタンから、”このコースはえらいショ”と聞いていた僕は、この日のために通勤を自転車にして備えていました♪。南海上を台風が通過するとの事で、午後から天気は下り坂。きっとまた言われるんだろうな・・・”松がいるから・・”(笑)

  僕は雨の山も大好きです。


  蘇莫岳から眺める北方の弥山へと続く稜線です。この花が”アカヤシオ?アケボノツツジ?ドウダンツツジ?その他?”と、知らないもの同士の論議が続きます。ドウダンツツジは壺状だったような・・と、以前庭にあったツツジを思い出しながら説明。帰宅して調べました。間違っていませんでした。良かったぁ~!!ちなみに、アカヤシオはアケボノツツジの一亜種なんですね(笑)。結局これはアカヤシオかな・・。



  こちらはシロヤシオ。ゴヨウツツジの別称とか。アカヤシオが葉が開く前に開花するのに対し、こちらは葉が開ききっています。同じ”ヤシオ”なのに、別種なんですね。


  涅槃岳への新緑の中の登りです。小さな、しかしながらとても急なアップダウンがこれでもかと続きます。僕はツツドリ・カッコー・ホトトギス・ブッポウソウ・ウグイス・各種のカラ・アマツバメ・イワツバメ・ヒタキ・オオルリ・コマドリ・小型のモズ(アカモズ?)・アオゲラ・アカゲラ・トラツグミ・コゲラ・・・と、あっちへキョロキョロ、こちへキョロキョロ。気が散りっ放し(^ ^);。聞きなしができたらなと、トテモ残念です。きっとサンショウクイやコサメビタキ・センダイムシクイも鳴いているんでしょうが、残念!



  
持経の宿で大休止。昼食タイムとなりました。


  
続いてこちらは平治の宿。”ここで泊まる事にしよう”なんて言葉を少し期待していました。なんせ次の行仙宿まではここから3時間以上!・・・・・あまかった。ショウタン厳しい顔で、”ホイタラいこらよ!”


  
倶利伽羅岳では雨具姿。転法輪岳付近からガスと雨雲の中。ほんの一時ですが大粒の雨がバラバラと。あわてて合羽着用。”松はこうでなくちゃ”とはショウタンの弁。”どういう意味だろう”と、深読みする松でした(笑)。



  
ヤットの思いで、本日最後のピーク、行仙岳へ。登りで力を使い果たした僕は、ここから行仙宿への下りで完全にストップしました。先に小屋に到着したショウタンが呼ぶ声が聞こえるのですが、足が前に進まない・・・。小屋に着くなりスティックパンをいただきました。2本で回復しました(笑)。


  
小屋では楽しい晩餐。疲れなど一気に吹き飛ぶ暖かい火。生木をくべるものだから、煙がひどいのなんの・・。あまりに目が痛いので、外で痛みを癒していると、”松、風邪引くぞ!早く入って来い!”ああ、留まるべきか、戻るべきか・・。束の間の躊躇の後、煙の中へカムバックした松でした。
5月19日

  夜中に出ていたきれいな月はどこへやら、霧の朝となりました。昨夜はよほど疲れていたのか、平素はちょっとした物音にも目を覚ます繊細な僕が、夜中1時過ぎまでショウタンの鼾の記憶がありません(笑)。なあんだ、ちゃんと疲れたら眠れるんだ!と、少し自分に自信が持てました(なんのこっちゃ!)昨夜の疲れはどこへやら、6:40にいざ出発です。



  
大山でお馴染みのブナ。さすがにこのような姿のものは見たことがありません。まるで龍のよう。幽玄の世界に迷い込んだようです。


  
朝一からのうんざりするような登りをやっと終えたところにある笠捨山山頂。”今回の大変な登りはこれでおしまいだ”と聞いて、”ヤッホー!ヤッホー!”。ショウタンが嘘つきである事を思い出したのは、この後すぐでした(笑)。


  
槍ヶ岳への登りで見かけた白いイワカガミ。この稜線はとても痩せていて、地蔵岳の頂稜など、カモシカがスキップするくらいの尾根。まさかあそこが奥駈道だとは思いもしなかった松でした。あれは普通靴では歩けません。このコースを歩くには、それなりの装備が必要です。



  
時折このような鎖場が現れます。高度を稼ぐ事が出来るこのような登りは僕は嫌いではありません。しかし、足元が濡れており、片手には杖。よくありませんね。面倒臭がらずにしまうべきですね。そう言えば、ショウタンは杖をこまめに出し入れしていました。このあたりに経験値がでてきます。


  
香精山で最後の大休止です。無線・携帯電話で、すでにシマヤンとは連絡が取れています。今回は稚児の森までですので、時間はあります。ゆっくりとカレーライスを楽しみます。・・・思い出しました。乾燥剤を一緒に煮炊きしたショウタン、”味がおかしい”と言いながら平らげましたが、その後なんとも無かったようです。恐るべし・・・。


  
そして14:00、稚児の森。お待ちかねシマヤンのカメラに収まるショウタンです。はるばる歩いてきました。苦しかった分楽しかった山行も終わりです(^ ^)v。稚児の森より玉置神社(の下)経由十津川村から旭登山口まで1時間以上の時間がかかります。サポートを快く受けていただいたシマヤン、先達を引き受けていただいたショウタン、本当にありがとうございました。


大峰、すばらしいですね。