第三日目
第四日目へ
快晴の朝を迎え、憂鬱な一日が始まります。目の前にくっきりと聳え立つ聖への登りを思いながら、”前回聖登ったし、小屋で待っていようかな・・・・”などと、安直な事を考えていたら、シマヤンの鋭い一言、”何を言いよんな、さあ行くぞ!”ああ、僕のくつろぎの小屋ライフが消え去ってしまった・・・。
ハイパーおじさん、聖の登りもなんのその、空荷ですいすい泳ぐように駆け上がります。”これで二度目、これで二度目”と、○中の患者のようにブツブツつぶやきながらやっとの思いで聖の頂上に着くと、”遅かったね〜!!さあ、下ろう!””ひえ〜!!僕はたった今着いたばかりなんです。ちょっと3013mの風を楽しませてください。”
今日は、行く先の光岳まで見えます。快晴の稜線を心行くまで楽しみます。ショウタン・シマヤンは、もう見えません。信号ダッシュのごとく、先を争って駆け下りてゆきました。それを見ていた年配の女性、かなり離れて歩いていた僕を、彼らの同行者だとわかるはずもありません、”ねえ、危ないわねえ。怪我でもしたらどうするのかしら・・””きっと、彼らなら、空でも飛べますよ!”そう返答した僕を、おばさんは怪訝な目で見つめ返してきました(笑)。思うのは勝手ですが、人の楽しみを否定してはいけません。どこに敵がいるかわかりませんよ(笑)。
夏雲湧き立つ縦走路へ、いざ出発です。
今年もチングルマに出会えました。この時期にしては、かなり高山植物が残っており、今年の雪が多かった事を想像しました。このチングルマ、とても親近感を覚えます(笑)。
上河内岳の肩です。ここから見上げる上河内岳への登りは、とても急に見えますが、適度な勾配に切ってあり、とても登り易い道でした。
亀甲状土を進みます。ハイマツの実を目当てのホシガラスがいたるところに居ます。彼らがこんなに群れているのを見るのは初めてです。
茶臼小屋への分岐手前にある、”ハイジの丘”から臨む、明日登る事になる茶臼岳です。ハイジの丘には、歳を召されたペーターが御二人でくつろいでおられました。
茶臼小屋への下りは、思ったほど稜線から逸れず、これなら我慢できるカナと・・。ただし、その分水が少なく、翌日の水汲みに手間取りました。
ショウタン・シマヤンは、大虎グループと酒盛りです。酒の飲めない僕は、一人で寂しく部屋で音楽を聴いていました。後ですれ違いざまに、大虎の女性が一言、”付き合い悪いんだから・・。””すみません、僕はお酒飲めない身体なんで・・・・。”そのような身体も、実際には存在するのでしょうが、僕は全く呑めないわけではありません。ただ、大虎が怖かった(笑)。